ThreadLocal の仕組みと活用方法
ThreadLocalは、多スレッド環境でスレッド内部のデータ共有を実現するJavaのクラスだ。スレッドごとに、そのスレッドのみが変更できるローカル変数を提供し、他のスレッドの同じ変数の値には影響されない。各スレッドに独立した変数のコピーを作成することでデータの隔離を実現している。
ThreadLocal の使用場面は以下を含め様々です。
- スレッド間データ共有：ThreadLocal で複数のスレッド間でデータを共有できます。synchronized や Lock などの方法によるスレッドセーフティを保障する必要はありません。各スレッドは ThreadLocal 内の変数値を独立して設定および取得でき、相互に干渉しません。
- スレッドのコンテキスト情報を保持：ユースケースに応じて、ユーザID、リクエストパラメータなどのスレッド固有のコンテキスト情報をメソッド間で引き継ぐ必要がある場合があります。ThreadLocalを使用すると、これら情報をスレッド内で保持し、メソッド呼び出しチェーンのそれぞれのメソッドで取得して利用することが容易になります。
- データベース接続管理：データベース接続プールを使用する場合、各スレッドが独立のデータベース接続を取得できるよう、ThreadLocalを使用してデータベース接続を管理します。各スレッドはThreadLocalから専用のデータベース接続を取得でき、スレッド間の干渉を回避します。
- マルチスレッド環境で SimpleDateFormat クラスによる日時フォーマットを行うとスレッドセーフの問題が発生する可能性があります。 各スレッドの独立した SimpleDateFormat インスタンスを作成するには、 ThreadLocal を使用し、スレッドセーフを確保してください。
スレッド内でデータを共有しスレッドセーフを保証する必要がある場面では、基本的にThreadLocalが適しています。ただし、過度に使用するとメモリのリークやコンテクスト情報の隠れたやり取りが生じる可能性があるので、乱用しないように注意する必要があります。
